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2007年04月04日

環境に優しい木 その1

前回までの話を、簡潔にまとめてみます。
日本の山の木が使われていないため、山が野放し状態であり山と木が病気になっている。それが、自然の循環や地球環境にまで影響を・・・。これを解決するためには、日本の山の木を使うことであり、使うとは「伐って、植える」を繰り返すことであった。まず、健全な山と木であることが重要、という内容でした。
では次に、木は環境に優しい材料であると言いますが、環境に対してどのように優しいのでしょうか?
その一つに、エネルギー消費量がとても少ない材料であるということです。
木は、太陽・水などだけで育つ自然の産物であります。このことが、地球環境に対する負荷という意味では、とても大切なことなのです。
これに対して、建材などの工業製品は、製造時に化石燃料を燃やして膨大なエネルギーを浪費してしまいます。これが、炭酸ガスの大きな発生源になっているのです。
木の場合は、それを木材に加工(製材・乾燥)するのに少しエネルギーを使いますが、工業製品とは比べものになりません。
どのくらい違うのか、化石燃料をエネルギーとしたことによる、製造時炭酸放出量を見てみましょう。(材料1m3生産するのに放出される炭酸量です。)
木材 15kg(天然乾燥)、28kg(人工乾燥)
合板 120kg、 パーティクルボード 200kg
鋼材 5,320kg、 アルミニウム 22,000kg
コンクリート 120kg

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いかがですか? ずいぶん違いますね。
木材の場合は、人工乾燥すると熱エネルギーを使いますので、天然乾燥15kgの倍近い28kgになります。木から合板を製造すると、15kgの8倍の120kgも放出します。
鋼材やアルミニウムになると、桁違いに大きい放出量であるというのが、お分かりいただけると思います。(コンクリートは、意外と少ないですね。)
例えば、家の床に合板フローリングを使うところを、本物の木の床を使うことによって、地球に対する負荷が8分の1ですむのです。床だけでなく、他の部分も建材でなく本物の木(自然素材)を使うと、全体の放出量をかなり減らすことができます。
ごみの分別やレジ袋を使わないという日常の積み重ねも大切ですが、家(建築物)を建てる時やリフォーム時にこうすると、環境保全のために大きく貢献できるのです。
建てた時だけではありません。本物の木を使った効果は、ずっと継続されるのです。(その理由は、次回以降の話です。)
1軒の家(建築物)だけでなく、使う側みんなでこうすることにより、地球規模の温暖化防止・CO2削減につながるというわけです。
本物の木の代替品になると思って作った建材でしたが、家の中ではシックハウス、そして地球の環境破壊まで引き起こしてしまいました。
もちろん、工業製品のすべてを批判しているのではなく、作る側はエネルギー消費量と炭酸放出量を大幅に減らす努力をしなければいけません。
でも、日本の山には環境にとても優しい材料である木が、いっぱいあるのです。
木が環境に優しい材料である理由は、これだけではありませんよ。
次回につづく。

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posted by kusano at 17:00| Comment(8) | TrackBack(0) | 今、なぜ木の家なのか? | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年03月22日

「伐って、植える」をくり返す。

木を伐ることは環境破壊になるから、日本の山も木を伐らない方が良いのでしょうか?
前回の熱帯雨林問題もあってこういう声もあがるのですが、これは見方の違いであり、熱帯雨林の伐採と日本の人工林を伐るということは別問題なのです。
熱帯雨林の方は、土地の砂漠化や野性生物の保護、地元住民の資源権利と生活の保護などの問題であり、そこまで侵して後先を考えずに木を伐採したから問題が生じました。
これに対して日本の人工林の方は、木材供給のために人工林を伐るということが、木材として使う目的だけでなく、環境に対する積極的な利用を意味しているのです。
ただ肝心なことは、伐ることは伐るのですが、伐ったら終わりではいけないのです。
今現在、日本の山の木のほとんどは使われていませんので、伐らずに放っておくとどうなるかは、既に答えが出ています。
木が伐られていないということは、山に木(緑)がたくさんあって良いと思うかもしれませんが、そうではなく山が野放し状態になっているだけなのです。

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山は、木を伐ってまた植えるという行為がくり返されてこそ、健全な山になるのですが、野放し状態だと不健康で病気になっている状態だと言えます。
木をを伐ってまた植えるということは、きちんと手入れがされているということであり、手入れとは下草刈り・間伐・枝打ちなどのことです。
間伐や枝打ちが行われないと、成長させたい木を余計な木が邪魔をして細い木ばかりになり、地面は草ぼうぼうです。これでは、ジャングルと一緒です。
こうした状態は、木材にするための木に成長しないのはもちろん、根っこも細々しいため大雨や強風時に土砂崩れなどの災害を引き起こし易くなりますし、また何よりも病虫害に弱い木であり山になっているのです。
杉の花粉症は、木と山が病気になっているからですし、松枯れの問題も同じです。原因は別にあるにしても、山を野放しにしていることが助長させています。
熊が里に下りてくるのも、山に食べ物が無いからですが、そこまで荒れている証拠です。昨年の秋、富山でも熊の出没が毎日のようにありましたが、射殺されたニュースを見ると心が痛みます。(もちろん、人命の方が大事ですが。)
山が病気だと、川もそして海も、おかしくなっていきます、魚もです。

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富山の名産であるホタルイカが、先日解禁となりましたが初日はたったの9匹で、翌日以降も例年に比べてわずかしか獲れず、魚屋さんも料理屋さんも困っていました。逆に、ブリが異常に獲れているという現象が起きています。
生物は環境に敏感に反応しますから、これから地球の気温上昇に伴い、それらが移動するだけならまだよいのですが、絶滅するものもたくさんあるでしょう。
今年だけ、おかしいのではありません。既に、富山の漁師さんたちが「山に登って木を植える」運動が数年前に行われていました。
つまり、山〜川〜海〜空という自然循環の一部がおかしくなるだけでも、これだけ異常なことが起きてしまいます。
だから、山を健全に戻さなければいけない、ということは、山の木は「伐って、植える」という原則をくり返さなければいけないのです。
では、健全な山と木があるという前提で・・・。
次に、山に生えている木・伐った後の木材・木材を家(建築)に使うことは、どうして環境に優しいのでしょうか?
ここら辺を、次回以降に少しずつ書いていきますね。

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posted by kusano at 16:55| Comment(2) | TrackBack(0) | 今、なぜ木の家なのか? | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年03月16日

日本の山の木が使われていない。

日本が、世界有数の森林国であることは、ご存知だと思います。国土の66%の面積にあたる約2万5千haが森林です。
戦後の木材需要のために大規模な植林が行われ、現在では森林面積の約40%(1万ha)が人工林となっています。(杉や桧といった針葉樹がほとんどです。)
森林が減っていると言いますが、人工林の蓄積という点では、日本はむしろ増えているほうに入るのです。
ただ、世界的にみると確実に減っていますので、熱帯雨林などが急速に減少している問題など、聞かれたことがあるかと思います。
しかし、この問題にはどうやら、世界有数の森林国である日本が関係しているようです。
これだけの森林を国土に有していながら、木材の輸入量が世界のトップなのです。
もちろん、以前は日本も木材を自給していたのですが、1960年に木材輸入の自由化が始まってから、その当時86.7%あった木材自給率がどんどん低下し、2000年には18.2%まで落ち込んできているのです。
これに伴い国産材の需要が減少していき、外材に依存する量が増え続け、現在でも多くの国から大量の木材を輸入しています。

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その木材輸入量が膨大であるため、日本の企業が破壊的な伐採をしているなどとして、批判を浴びたこともあり、その後熱帯雨林の浪費を減らす運動なども行ってきたのですが、その効果はまだ表れていないようです。
こうした熱帯雨林の急激な減少が、森林生態系に影響を及ぼしているので、国際的な問題になってきています。
世界の森林破壊を少しでも防止するためには、わが国は外材依存を減らすよう努力しなければいけません。
話を日本の森林に戻して、このように日本の山の木が使われていないのです。使われていないということは、伐られていないのです。
伐って使えばよいのですが、前述の問題もあったせいか、木を伐ることは環境破壊になるのでは?という疑問の声も・・・。
木を伐らない(山にたくさんの木・緑がある)ことが、自然保護である。
はたして、そうなのでしょうか?
次回につづく。

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posted by kusano at 18:28| Comment(2) | TrackBack(0) | 今、なぜ木の家なのか? | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年03月14日

今、なぜ木の家なのか?

今年の冬は、記録的な暖冬でしたね。
暖かく雪が少なくて良かったのを通り越して、異常気象と関係する温暖化や CO2問題など、地球環境の問題を少し身近に感じた方もいらっしゃると思います。
最近のニュースなどでも、これらの環境問題が思った以上に進んでいるとか、北極はあと35年位で無くなってしまうという話もしていました。
南極の氷が融けて海面が上がるとか、オゾン層が破壊しているということは、以前から言われていますのでご存知だと思います。
私たちがこの数十年間に排出した CO2は、ふわふわと非常にゆっくりと上昇していて、ほんの一部がオゾン層まで届いただけですから、まだまだこれからなのです。
こういう問題を減少するために、地球環境を少しでも良くするためには、私たち個人レベルでもできることを積み重ねていかなければいけません。
私たちが身近にできることとして、ゴミの分別やレジ袋の持参もそうですし、エアコンや暖房器具の設定温度を控えめにするなど、省エネルギーな生活をすることもその一つです。
こうした日常的なことの積み重ねも大事なのですが、一度にもっとたくさん貢献できることがあります。

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それは、家を建てるとき(新築だけでなく、リフォームでも)に工業製品などなるべく使わず、本物の木(日本の山の木)を使って、気候風土にあった家のつくり方をすることなのです。
こういう家を建てて長く使う(住む)だけで、住む人が木の恩恵を受けて健康に暮らすことができ、日本の山が健全に戻り、地球環境にも優しいのです。
しかし、どういうところがその良さにつながるのでしょうか?
また逆に、山の木を切ることは自然破壊になるのでは?、気候風土にあった家とは?、最近はどこも木の家と言っているけど?、本物の木は高いのでは?、という疑問もあって当然です。
こういったことをご理解いただくために「今、なぜ木の家なのか?」を、これから少しずつ書いていきたいと思います。
今までは、いくつかのジャンルで少しずつ触れてきましたので、「木の話」や他のジャンルに書いた内容もでてくると思いますが、ご了承下さい。(今まで通り、他のジャンルもお楽しみに!)
とにかく私たちは、子や孫のために安心して暮らせる家・地球に戻してあげましょう。また、日本ならではの素晴らしい四季折々の自然を残しておいてあげましょう。

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posted by kusano at 17:00| Comment(2) | TrackBack(0) | 今、なぜ木の家なのか? | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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