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2012年03月08日

構造要素実験 その3

今日は、実験の見学に行ってきましたというご報告です。
いつもの「伝統的構法の設計法作成及び性能検証実験検討委員会」が行っている実験です。
実物大の建物をつくって行う実大震動実験も行われましたが、建物を構成する軸組(柱・梁)や壁という構造要素ごとの実験もあります。
以前にご紹介した構造要素実験その1とその2は土壁の実験でしたが、今回の実験はより細かい部分で継手・仕口の実験です。

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継手・仕口はたくさんの種類がありますので、いくつもの大学で分担して実験が行われています。今回の場所は、金沢工業大学の地域防災環境科学研究所。
この大学が担当しているのは、渡り顎(わたりあご)という仕口です。渡り顎とは、直行する2つの材が高さを変えて組まれている仕口のことです。
1枚目の写真を見ていただきますと、2つの材が組まれて十文字になっています。実際の建物では、これを水平方向にというか、これを寝かせた状態です。建物の上から見るとこんな風に見えます。
2枚目の写真を見ていただきますと、高さをずらして2つの材を組んであるのが分かりますね。

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1枚目の写真で、縦方向の材を右にあるジャッキで押したり引いたりしているのです。そうすると、写真のように縦方向の材が斜めに傾きますね。
傾くとともに、縦方向の材と横方向の材が噛み合っている部分で、木と木がめりこみを起こします。
めりこみを起こしながら、この仕口がどれだけ耐力を発揮してくれるかという実験(渡り顎仕口の十字型曲げ試験)をしているのです。
1枚目の写真、だいぶ傾いていますね。これで、20cmほど傾いていますので、2つの材が噛み合っている部分でかなりめりこみを起こしています。
3枚目の写真は、実験が終わった後の材料です。一番上の手前の木、噛み合っていた部分がかなりへこんでいるのがお分かりでしょうか。

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この日は、実験を担当している後藤先生がおられて、少し解説もしていただきました。
壁などの実験であれば、同じ試験体を何体かやっても大体似たような数字になる。それは、柱・横架材・貫などといった壁を造る要素がいくつも組み合わさって出来ているから。
しかし、こういう仕口の実験になると、試験体によってとてもばらつきが大きい。なぜなら、使ってある木そのものの強度に大きく左右されるからだそうです。
仕口の角の端っこ部分でお互いにめりこんで耐力を発揮する訳ですから、年輪が詰まっている材と粗い材では、強度がずいぶん違ってくるのでしょう。
そういうばらつきはあるものの、渡り顎の噛み合わせ量によってどの位耐力が違ってくるのかという仕口の実験でした。

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ところで、この実験の横でこのあとに行われる壁の試験体の製作が行われていました。
4枚目の写真は、壁の試験体をつくっているところですが、土壁の下地が竹小舞ではなく木ずり(木小舞)に壁を塗る試験体だそうです。通し貫のずれ止めに縦方向の貫をはめ込む作業をしておられます。
ただ釘で打ち付ける止め方ではなく、横方向の通し貫に縦貫を噛み合わせながらはめ込んでいるのです。上記の渡り顎と同じことですね。めりこみを活かすためです。これに木ずり(木小舞)を取り付けて、壁が塗られるという試験体です。
5枚目の写真は、板壁です。見えている板は下地ではなく、はめ込んだ板がそのまま仕上げの板になるという壁。
どちらも、見えなくなる下地まで自然素材(木・土)だけでつくる壁です。どういう壁を実験するかは、地域ごとの設計者・大工さんの意見を聞いて決めています。これも、とても重要なことですね。

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この委員会では、こんな風にいろいろな実験を行っています。
伝統的な構法の家は、難しい構造計算が必要になり、簡単には建てられなくなりました。逆に、最近の家づくりは、簡単に合法的に造るために建材・合板・金物などを多用している(せざるを得ない)ともいえます。
また、見た目的に伝統的な民家が良いからとか古いものは良いからという意味で、この構法を調べているわけではありません。構造材として柔らかい木を使うということは、木のめりこみを活かしてやる使い方が一番良いからです。伝統的な構法の家は、ちゃんとそれを考えて造られているからなのです。
建材などに頼らなくても良い日本の気候風土に合う家づくり、それが地球環境にも優しく日本の山・林業の再活性化につながる。
そして何よりも、住まい手が健康に暮らせる家をつくりたいからなのです。
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2012年01月25日

構造要素実験 その2

土壁の静的加力実験が行われましたので、見学に行ってまいりました。
「伝統的構法の設計法作成及び性能検証実験検討委員会」が行っている実験の一つです。以前にも土壁の実験をご紹介していますので、構造要素実験のその2としました。
前回の実験は、土壁そのものは同じ造り方で、窓のない壁や窓のある壁、窓がある場合でも床からの長戸であったり腰壁のある窓であったりと、それらの壁がどの位の強度があるかを調べる実験でした。今回の実験は、土壁の造り方を変えるとどうなるかという実験になります。
土壁の中には、柱と柱を水平方向につなぐ通し貫という部材と、竹小舞があります。その小舞間隔を変えると、水平耐力にどのような影響を及ぼすのか調べるものです。
今まで行ってきた土壁の小舞間隔と違う試験体を実験することにより、強度にどの程度の差が出るのか、破壊性状にどのような違いがあるのかを検証します。

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1枚目の写真を見ていただきますと、壁がずいぶん傾いていますね。長方形だった壁が、平行四辺形になっています。これで、壁の高さの10分の1傾いているのです。壁の高さが2730mmありますので、273mmも左へずれて(傾いて)います。
これを見ていただきますと、土壁の壊れ方がよく分かりますね。土壁の上下に割れが入っているのと、真ん中あたりに膨らんでいる部分があります。この3ヶ所に、通し貫が入っているのです。
土壁はこのように、壁の中に入っている通し貫と小舞に塗り込められた土がこざることによって、耐力を発揮(変形を止めようと)します。
写真では、273mmまで傾いているのでこれだけ割れていますが、傾きが小さいうちは割れません。ある程度傾くと少しづつ割れて、だんだん割れが大きくなっていきます。

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2枚目の写真は、壁の下部分のアップです。左側に傾いているので、左側の柱は柱の右半分が浮き上がっていて、左半分はめりこんでいます。
右側の柱は、左の柱よりも浮き上がっていますね。柱と土台とは込栓でとめてありますが、これ位浮き上がっていると込栓が折れるかホゾ先が割れていると考えられます。しかし、柱の先のホゾと土台のめりこみもありますので簡単には抜けません。
最近のプレカットによるホゾは短いですからこういうめりこみは期待できませんが、伝統的な継手・仕口はこういう木の特徴であるめりこみをいかした造り方をしてあるというわけです。
さて、今回の小舞間隔の違いによる土壁の強度は、どうだったのか?
こういう風にいろいろな実験が行われることによって、古い伝統民家そのままだけではなく、古くて新しい現代民家の設計ができるようになることを期待しています。
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2011年11月08日

「対話で創ろう 伝統構法の未来」 富山会場

以前よりご紹介している「伝統的構法の設計法作成及び性能検証実験検討委員会」の話題です。
いつもなら、京都でフォラムに参加してきましたとか、兵庫県にあるE−ディフェンスで実験を見学してきましたというご報告が多かったですが、今回は地元富山で開催されました。
「対話で創ろう伝統構法の未来」と題して行われた講演会&意見交換会(国交省の補助事業)であり、富山だけでなく全国8会場で開催されるのです。富山が4番目ですので、8会場のうち半分が終わりました。

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今回、富山会場の共催(地元協力)として、緑の列島木の家スクール富山事務局が担当させていただきました。(事務局の代表は、私が務めさせていただいております。)
この検討委員会で行われてきた実験・研究により、新しい設計法がだいぶまとまってまいりました。その設計法に関する講演と、それに対する実務者や行政の意見を聞くための意見交換会が開催されたというわけです。
この講演会に参加を募るために、いろいろ回らせていただきました。富山県はもちろん、石川県・福井県の県庁・市役所・住宅センター・建築士会・建築士事務所協会さんなどです。
こういう風にいろいろ回らせていただきますと、伝統的な構法の建物に関心を持っておられる方が思ったよりも多いことに気づかされました。新しく建てるだけでなく、伝統的な建物・街並みを残すためでもあります。
しかしながら、現行の法律では伝統的な構法だと特別(超高層建物と同じような)扱いになるので、非常に難しい計算が必要になり、お金も日数もかかってしまいます。そのため、伝統的な建物を建てる・残そうと思っても、なかなかできない状況に陥っているのです。そういうことがあるため、この新しい設計法に期待が寄せられるのです。

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当日は、富山・石川・福井だけでなく新潟や長野から来ていただいた方も含めて、約60名の設計者・施工者・行政の方々が参加され、熱心に耳を傾けていらっしゃいました。
講演会の後の意見交換会では、参加していただいた方から貴重なご意見をいただき、それに対して先生方と討論が行われました。
無事、講演会と意見交換会が終わって、一安心したのでした。
今回の講演会だけでなく、伝統的な建物・街並みが残っていくよう増えていくことを願って、緑の列島ネットワーク・木の家スクール富山の活動を続けていきたいと思います。
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2011年08月09日

通し柱効果に関する検証実験

タイトルにある実験が行われましたので、見学に行ってまいりました。以前からご紹介している「伝統的構法の設計法作成及び性能検証実験」検討委員会による実験です。
場所は、京都大学宇治キャンパス内にある京都大学防災研究所です。写真の部屋は、防災研究所の強震応答実験室。

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通し柱効果とは・・・
地震力や風圧力に抵抗するための耐力壁は、2階よりも1階の方が多く必要になります。しかし、実際には間取りの関係上で、1階はLDKなど広い部屋があり2階は個室が多いので壁の量が多くなりがちです。
また、窓も1階の場合は長戸が多いのに対して2階は腰壁のある窓になるため、そういう壁部分でも1階より多くなります。1階部分の壁量が足りないということではなく、1階と2階のバランスとして見た場合、2階の方が1階に比べて強くなりすぎる傾向にあるということです。
このバランスが悪いと、通し柱の真ん中あたりの胴差(1階と2階の間の横方向の材)部分に、柱を折り曲げようとする力が働きます。その力に対して柱が細いと、通し柱は折れてしまい倒壊につながりますし、太ければ折れることはありません。
つまり、通し柱がある程度太ければ、上記のバランスが多少悪くてもそれをカバーしてくれる・・・、これが通し柱効果です。

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1枚目の写真と2枚目の写真を見ていただきますと、1階の壁よりも2階の壁の方が多いですね。(2階には、1階の2倍の耐力壁があります。)
本来なら反対の方がバランスが良いのですが、実際の建物でもこのように2階の方が壁が多い状態になっているということです。写真の建物(試験体)の通し柱は、6寸(18cm)角です。
2枚目は震動中の写真ですが、建物が大きく右に傾いていますね。地震波をだんだん強くしながら何度か実験が行われたのですが、6寸角の通し柱は大丈夫だったようです。1階の壁は、だいぶ壊れています。
左右に大きく揺さぶられても、最後は何事もなかったかのように、真っ直ぐに戻ったという感じです。柱の太さが太いぶん、元に戻ろうとする力も大きいということです。

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3枚目の写真は、1枚目・2枚目の写真とは別の試験体で実験が終了した後に解体されたものです。
写真の左から4本の柱は4寸角の通し柱(長さは切ってある)で、この写真では分かりませんが通し柱の胴差部分に割裂が起きていました。
通し柱の胴差部分というのは、写真にありますように穴をあけますので、穴をあけた残りがどれだけあるかが重要なのです。(胴差は2方向から来るので、上の面にも写真に見えていない横の面にも穴があいています。)
やはり、4寸角ではその残りの量がどうしても少なくなってしまいますので、この部分に折り曲げようとする力が働くと折れやすいです。

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4枚目の写真で、中央2本が6寸角の太さで、その他の柱は4寸角の柱です。こういう風にみると、太さが全然違いますね。同じ穴をあけても、6寸角の通し柱だと残りの量がずいぶん多くなりますから、折れない(折れにくい)ということです。
そういう意味で、通し柱に太いものを使うことは、とても大きな意味があります。バランスが悪いから通し柱を太くするのではなく、耐力壁もバランスも考え、なおかつ余力として通し柱の太さ(断面)も太いにこしたことはありません。
伝統的な構法の骨太な軸組(柱・梁)には、ちゃんと意味があるのですね。
また実験など見に行きましたら、ご紹介いたします。
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2011年07月19日

伝統的構法の・・・フォーラム in 京都

今日は、以前からご紹介している「伝統的構法の設計法作成及び性能検証実験」検討委員会の話題です。
この委員会は平成20年に創設され、20年・21年度と旧委員会を経て、昨年22年より新委員会が発足し3年計画で新たなスタートを切ったのです。
このブログでも、昨年の暮れに行われた構造要素実験や、今年の1月に兵庫県にあるE−ディフェンス(実大三次元震動破壊実験施設)で行われた実大実験などもご紹介しています。
22年度の調査・研究の結果報告として、本来なら3月に開催されるはずのフォーラムが東日本大震災の影響により延期になり、ようやく先日(7月15日)京都で開催されました。

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今現在、伝統的な構法の建物の場合は難しい構造計算が必要になるため、簡単には建てられない=着工数の減少を招き、伝統的な構法は危機的な状況にあります。
その打開策として、伝統的な構法を調査・研究し、実務者が実用的に使える設計法を作成するための検討委員会なのです。
フォーラムでは、昨年度1年間の調査・研究・実験結果の報告とこれからの計画の発表がありました。
その設計法は、平成24年度には完成を目指して着実に進んでいるようです。
これが確立されることにより、日本古来の伝統的な構法の建物・住宅・街並みが継承されていくことを期待するものであります。

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構造的な観点とは別ですが、伝統的な民家の造り方は日本の気候風土に合って(建材の家に比べて、あまりエアコンに頼らなくて良いなど)いて、家そのものにも良い(長持ち)し、住む人にも優しく健康に住める、そして環境にも優しいのです。
今の日本の問題点解決策として、こういう家づくりを見直すことがとても重要なことであります。
後世の住まい・日本の山・地球環境のためにも・・・。
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2011年03月16日

東北地方太平洋沖地震

3月11日に発生した東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)で、被災されました地域の皆様・関係の皆様には、心よりお見舞い申し上げます。
わが国の観測史上最大規模となったこの地震では、東北地方から関東地方まで広範囲の地域で、甚大な被害となっております。テレビで見るその光景には、目を疑うとともに言葉もありません。
行方不明の方々が、一人でも多くご無事でいらっしゃることを願い、また亡くなられた方々のご冥福をお祈りします。
被災地が一日でも早く復興できるよう、祈念申し上げます。

昨日、被災地への支援物資を買いに、ホームセンターを3軒ほど回ってきました。関東地方では、いろいろな物が品薄状態になり手に入れにくい物も、富山ならあるのではないかと思い・・・。
懐中電灯や乾電池が売れているというのは知っておりましたが、懐中電灯は富山でも完全に売り切れ状態です。乾電池も、懐中電灯によく使われている単一・単二電池はまったくなく、単三・単四電池なら少し残っている程度。
その他にも、生活用品(トイレットペーパー・ティッシュ・おむつなど)や、ペットボトルの水をたくさん買う人が多くいらっしゃいました。
また、カセットコンロもひとつもなく、カセットボンベ(ガス)なら少し残っているなと思ったら、目の前でカセットボンベをいくつもカゴの中に入れていく人が何人もいて、あっという間に売り切れに。
地震時のことだけでなく、停電の心配をしておられるのでしょうか。富山でもここまで・・・という感じでした。
懐中電灯や乾電池を買いに来られた高齢者の方もたくさんおられましたが、どこへ行っても売っていないと困っておられました。テレビやラジオでも言っていますが、買いだめが多くなってしまうと、本当に必要な人の所へ届かなくなりますので、必要な分だけにしておきましょう。

でも、万が一の地震に対する備えは、とても重要なことです。(最低限の防災用品や食料品・水は備えておくべきです。)
今回の地震では、M(マグニチュード)9.0という巨大な地震だったこともあり、そのぶん余震の規模が大きく回数も多くなります。
東北だけでなく、関東・東海・新潟・長野などいたる所で余震が起きているのは、ご存知の通りです。富山では、幸い震度3〜1程度ですので、この位の揺れなら大したことはないです。
しかし、(特に富山の皆様)油断だけはしないで下さい。近辺では、新潟・長野を震源とする余震はかなりたくさんありますが、実は岐阜県や富山県を震源とする地震もあるのです。
3月11日の東北地方太平洋沖地震以降から今朝までに起きた地震で、岐阜県飛騨地方を震源とするものが16回も起きています。富山県を震源とする地震は、2回ありました。
1回目 3月13日 4時48分 M3.4 震度1 震源富山県東部
2回目 3月14日16時43分 M3.0 震度1 震源富山県西部
1回目は長野県に近い所が震源で、2回目は岐阜県に近い所が震源。
震度こそ大したことがなかったものの、このように富山県内が震源の地震もありますので、ご注意下さい。
上述した、地震に対する防災用品の備えも必要ですが、タンスが倒れてきたり物が落ちてきてケガをしたりすることがないよう、家の中を点検していただきたいと思います。

東北地方太平洋沖地震で避難生活されている皆様方は、避難所で寒さに震えながら厳しい生活に耐えておられると思います。
テレビなどで見守ることしかできないのですが、支援物資や義援金など今出来ることだけを精一杯させていただきます。それが、皆様に早く届くことを願うばかりです。
わが国最大規模の巨大地震が起きてしまいましたが、国民が一つとなって乗り越えていきましょう。
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2011年01月25日

伝統的構法の実大振動台実験

1ヶ月ほど前に、構造要素実験(土壁の実験)が行われている様子をご報告しました。それは、家全体の構造の一要素としての壁の強度など性能を調べるための実験でした。
壁だけでなく床や接合部なども、そして柱梁の材料そのものの強度も調べた上で、家全体としてどうなるか検証実験が行われます。その実物大の振動台実験が行われましたので、見学に行ってまいりました。
実物大の振動台実験といえば、今まで何度かご紹介していますね。兵庫県三木市にあるE−ディフェンス(実大三次元震動破壊実験施設)です。

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写真の建物は、短辺方向4間(7.28m)×長辺方向6間(10.92m)、伝統的な構法で造られた総2階建ての家。
昔の家には基礎がなく、石の上に直接柱が建てられていました。それを石場建てというのですが、この建物もその石場建て構法の家の実験です。(同じ大きさで、基礎があって土台の上に柱を建てる構法の家の実験は、別の日に今回の実験に先立って行われました。)
1枚目の写真は、この建物の長辺方向に対して、人工の地震波で揺らしているところ。この写真では、建物が左右に揺れている状態です。ですから、長辺方向の壁が地震に対して抵抗することになります。(揺らしている最中に写した物ですが、さほど傾いていませんので分かりにくいですね。)
よく見ていただきますと、1階の壁に亀裂が入っています。亀裂が入り始めたところで、この後もう少し亀裂が入って揺れが終わったという感じでした。

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2枚目の写真は、今度は短辺方向に揺らしているところです。今度は、先ほどと直交する手前と奥の方向に揺れていますので、建物の短辺方向の壁が地震に抵抗します。(1枚目の写真よりも、傾いているのが分かりやすいかと思うのですがいかがでしょうか。)建物を斜めから見ていますが、短辺方向の1階の奥の壁に、先ほどよりも大きな亀裂が入っていますね。
実験では、方向別にも調べますので、こういう風に方向ごとに揺らしてみるということもするわけです。実際の地震の揺れは、一方向だけということはほとんどなく、短辺・長辺共そして上下方向にも揺れます。この実験のあとに、実際に起きた地震波(阪神大震災の神戸波の揺れ)で実験が行われました。
これら一連の「伝統的構法の設計法作成及び性能検証実験」検討委員会の2010年度の実験は終了です。ひき続き、2011〜2012年度まで実験が行われていく予定です。
古き良きものという観点でなく、日本の林業や環境問題に対する救世主、そして住まい手が健康で安全に暮らせる家として、その設計法が見出されることを期待するばかりです。
posted by kusano at 17:40| Comment(0) | 地震の話・地震情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年12月22日

構造要素実験

今日は、以前にご紹介した「伝統的構法の設計法作成及び性能検証実験」検討委員会の話題です。
この検討委員会では、2010年から2012年の3年間で、伝統的な構法の実大震動台実験や構造要素実験がたくさん行われます。
来年の1月には、実大震動台実験が実施されるのですが、それに先立ちまして構造要素実験が始まっています。

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実大震動台実験は、実物大の伝統的な構法の家の加振実験であり、家全体の実験ですね。構造要素とは、その家の各構造要素(壁・床・屋根・接合部・柱脚礎石)ごとに実験されるということです。
その中で、軸組(壁)の実験が公開されましたので、見学に行ってまいりました。
壁の種類は、土塗り壁・乾式土壁パネル壁の2種類です。壁の形式は、軸組全体が壁の場合や、開口部のある壁などですが、開口部のとり方もいろいろパターンがありますので、4つの大学の実験室で分担してこの実験が行われています。

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1枚目の写真、これが実験装置です。実験装置に壁が設置されています。見てお分かりの通り、窓のある壁が2つならんでいるパターンです。窓上の垂壁と窓下の腰壁で、どれ位の強さがあるかを調べるわけですね。
壁上部の右側にジャッキがあり、そのジャッキが壁を押したり引いたりすることにより、地震で揺れているかのように左右に壁が動くのです。(ただ、そのスピードはゆっくりです。)
2枚目の写真は、このあとに実験される壁が順番を待っています。これだけではなく、他にもいくつもあります。軸組全体が壁のものや、右半分が壁で左半分が開口部の壁、垂壁のみがあって腰壁がない壁、なども並んでいます。
それと、ここで実験している壁は、土台がない形式の壁です。柱脚がそのまま床の上に置いてありますね。昔の家は、石の上に直に柱をのせていましたね。石場立てと呼ばれます。この実験室では、この形式ばかり実験しています。(他の大学の実験室では、土台がある形式の壁を実験しています。)

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3枚目と4枚目の写真、壁が少し傾いたくらいでは分かりづらいですので、かなり傾いた状態の写真です。
どのくらい傾いているかといいますと、柱の下と上で約27cmも傾いています。上の垂壁も下の腰壁も、壁の四隅がつぶれていますね。その四隅以外は、特にひびも入っていません。
すごいのは、柱ですね。これだけ傾いてだいぶ曲がっていますが、折れることなく粘っています。この辺が、木は柔らかくて粘り強いといわれる所以ですね。
ただ実際には、見えないところで、傷んでいる部分もあります。その辺は、この試験体をばらしてみて調べることになります。

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また、柱は一生懸命粘っていても、壁(軸組)として強いという訳ではありません。あくまでも、この試験体は窓のある壁ですから、軸組全部が壁であるのに比べて弱いです。
ちなみに、この材料(柱と横架材などの木)、樹種は杉であり、天然乾燥された材料を使用しています。(人工乾燥すると、木の本来の良さが多少なりとも落ちます。)
そういう意味では、本来の木の良さを生かした(昔なら当たり前の)造り方を重視した実験がされているようです。私も、そういう部分がとても重要なことだと思います。
また実験がありましたら、ご報告いたします。
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2010年09月17日

伝統的構法の・・・シンポジウム

久しぶりのブログ更新になってしまいました。一年中で一番忙しい時期だったからです。
久々になる今日の記事は、先日の話になりますが、金沢で開催されたシンポジウムのご報告です。
タイトルでは長くなるので略しましたが、正式には「伝統的構法の設計法作成及び性能検証実験」検討委員会によるシンポジウムです。

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以前から、兵庫県三木市や茨城県つくば市で行われた実験の様子をご紹介していますね。その続きです。ただ、以前の検討委員会は昨年度で一区切りとして、今年度より新しい検討委員会としてスタートしたのです。
平成22年6月5日に、新委員会のキックオフフォーラムが開催され、今回は9月12日に第1回シンポジウムの開催となりました。(1枚目の写真が、6月5日のキックオフフォーラムで、2枚目・3枚目の写真が今回のシンポジウムです。)

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阪神大震災以降、ようやく住宅規模の木造の構造的な研究が始まり、その成果は建築基準法改正にまで反映されています。
しかし、それは現代構法の造り方がほとんどと言ってよく、伝統的な構法に関してはまだまだです。それどころか、難しい構造計算を強いられたり、年々建てにくい状況に陥っています。
どこでも誰でも簡単に、伝統的な構法の家を建てられるように設計法を見出すのが、この委員会の目的なのです。

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構造的な難しい話は別として、先人達が長い歴史の中で造り上げてきた伝統民家は、日本の気候風土に合った造り方です。また、自然素材のみを使い環境にも優しい・・・住む人だけでなく・日本の山にも地球環境にも優しい家づくりなのです。
今までは、日本の財産である伝統民家の良さを見直すことなく、新しい構法・建材にばかり目を向けてきた結果、家の中ではシックハウス・地球環境まで破壊してしまいました。
この委員会も含めて、伝統民家の良さが本当の意味で理解されることを期待し、日本の山の木を使って安心して住める家が増えることを願うばかりです。
実験の様子なども、またご報告いたしますね。
posted by kusano at 17:21| Comment(0) | 地震の話・地震情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年10月01日

伝統的木造軸組構法 実大静加力実験

伝統的木造軸組構法でつくられた、実物大建物の実験が行われましたので、見に行ってまいりました。
昨年の暮れに、兵庫県三木市にあるE−ディフェンスで実物大震動実験が行われたことをご紹介しましたね。
それと同じ事業の一環として、今回も同じ建物をつくって実物大静加力実験が実施されました。今回の場所は前回と違い、茨城県つくば市にある独立行政法人建築研究所です。

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1枚目の写真は、振動台実験でご覧いただいた建物のB棟です。(実験前の様子です。)
ただし、前回のときは土壁がついていましたが、その土壁が塗られる前の骨組みだけの建物にしてあります。
つまり、土壁という耐力壁がついていない、伝統的木造軸組構法の軸組そのものになります。
土壁がない軸組だけでどのくらいの強度をもっているのか、土壁があるなしでどう違うか、水平構面(2階床)の強さはどのくらいか、などを検証するのが目的です。
震動実験は、振動台という地面がガタガタガターっと揺れますので、あっと言う間に終わってしまいますが大迫力です。
それに対して静加力実験というのは、建物を横からジャッキで押したり引いたりして、ゆっくり揺らします。地震をスローモーションで見ているような感じです。
なので、見学している分には震動実験に比べて迫力に欠ける部分もあるのですが、途中で中断しながらその段階で計測したり、どこがどのように損傷するかを調べながら、強度・構造特性が検証されていきます。

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2枚目の写真は、実験後の様子です。
建物が、右方向に大きく傾いていますね。建物の右側に鉄骨のフレームが見えますが、そこにジャッキが設置してあって、ギューッと右方向に引っ張っている状態です。
どのくらい傾いているかと言いますと、1階床レベルと2階床レベルで約30cmも傾いているのですよ。
このくらいまで傾いて耐えているのは、伝統的な構法でつくられているからこそなのです。これが現代的なつくり方では、ここまで耐えることはできません。これほど傾くもっと手前で、倒壊してしまいます。
写真の建物のように伝統的な構法の軸組は、木と木(いろいろな部材)が接する接点が多いですね。それら接点を継手・仕口と言いますが、ガッチリ噛合うように組まれていたり、深く差し込まれていることによって、木と木同士で粘り強さを発揮してくれます。
それが、木という柔らかい素材を最大限に生かした構法なのですよ。
また、何か実験が行われましたらご報告しますね。
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2008年12月10日

伝統的木造軸組住宅の実物大振動実験

以前ご紹介しました、兵庫県三木市にあるE?ディフェンス(実大三次元震動破壊実験施設)に行ってきました。伝統的な木造軸組構法でつくられた実物大住宅の性能を検証するための振動台実験が行われたからです。阪神大震災のあと、本格的な木造住宅の構造的な研究が始まりました。現代的な構法の軸組住宅はもちろんのこと、伝統的な構法も少しづつではありますが見直されてきています。しかしながら、今の建築基準法は現代的な木造軸組構法やツーバイフォーについて定められた法律であり、本来の伝統的な軸組構法の家をそのまま建てることは不可能でした。最近では、限界耐力計算という複雑な構造計算をすれば建てることも可能でしたが、それは誰もが簡単にできるものではありませんでした。そこで、新しい伝統的な軸組構法住宅の設計法として、現代的な構法と同じように基準法の中に位置づける、若しくはもっと簡単な構造計算法を開発するためのプロジェクトが始まり、その一環としての振動実験なのです。 この実験では、A棟=地方型・B棟=都市近郊型という2棟の実物大住宅をつくって振動実験が行われました。伝統的な構法には地域性があり、軸組の組み方や土壁に使われる土の種類によって、どう違うかなども検証するためです。

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1枚目の写真は、B棟=都市近郊型です。阪神大震災の時の神戸波で揺らした後の写真。1階の壁に、亀裂が入っているのがお分かりでしょうか。地震の力を吸収したことにより、亀裂を起こしています。

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2枚目の写真は、A棟=地方型です。神戸波の揺れが一番大きな時にシャッターを押した写真。良く見ていただきますと、建物端っこの通し柱が大きく湾曲しています。このあと、土壁の亀裂がすすみ壁が落ちたところもありました。

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3枚目の写真が、地震後の状態です。どちらも、 2枚目も写真のように大きく揺れましたが、地震の揺れがおさまるとまたちゃんとまっすぐに戻ります。(ただし、近くで見ないと分からない損傷はしています。)柔らかいけれども粘り強いという、木ならではの特性ですね。 目で見える範囲の結果は、建築基準法が想定する大地震に耐え、想定外となる阪神大震災でも倒壊することなく、人命を守ることができたと言えるでしょう。性能の検証としては、倒壊した・しなかっただけではなく、これらの大地震でどこがどういう風に損傷したかなど、詳しく調べられることになります。とにかく、先人たちがつくり上げてきた伝統的な木造軸組構法の住宅が、このように振動実験されたことがとても大きな意味を持っています。この研究の結果、どうなっていくのか。本格的な伝統的な構法の研究としては、ようやく始まったばかり・・・。この後も、いろいろな実験が行われていきますので、またご報告いたします。
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2008年11月14日

木材研究所(富山)

富山の木材研究所に行ってきましたので、今日はこの施設をご紹介しましょう。富山県射水市にあり、以前は、富山県林業技術センター木材試験場という名称でしたが、農林水産関係の試験研究機関と統合されて、富山県農林水産総合技術センター木材研究所になりました。研究所の敷地内にいくつかの試験棟がありますが、

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1枚目の写真はその中でも一番大きな木質構造試験棟の内部です。この試験棟には、実大強度試験機・水平振動台・壁せん断試験機・構造物試験装置・断熱防露試験装置などの大きな試験機や装置があって、各種試験を行うことができるのです。

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2枚目・3枚目の写真は、水平振動台・壁せん断試験機の概要が書いてあるポスターです。詳しくは、画像をクリック(拡大)してご覧下さい。振動台とは、台の上に載せた構造物に地震動を加えて、耐震性能を評価する試験機です。以前に、兵庫県三木市のE?ディフェンスという実大三次元振動破壊実験施設をご紹介しました。その施設にある振動台の大きさに比べると小さいですが、富山でもここで振動実験を行うことが出来るのです。壁せん断試験機は、木造住宅の耐力壁(筋交いや合板など)として、どの位の強さがあるかを調べます。1枚目の写真の一番奥に、四角い鉄骨のフレームが建っていますね。それが、壁せん断試験機です。 その手前(写真中央辺り)の床に、レールのようなものが何本かありますが、この上に構造物を載せて揺らす振動台になります。ちなみに、写真の左端に丸い柱みたいなものが2本立っていますが、これは実大強度試験機であり、柱や梁など木材の曲げ・圧縮・めり込みといった強度を調べるものです。ところで、何をしに行ってきたかと言いますと、この研究所で行われた実験を見学してきました。阪神大震災以降、ようやく本格的な木造の研究が始まり、その後いたる所の施設でいろいろな実験が行われています。そういう積み重ねにより、丈夫な家づくりにつながっていくわけです。そんな家が1軒でも多く増えていき、安心して住める町・地震に強い日本になることを願うばかりです。
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2008年03月18日

震源と震央

久々に、地震のお話です。今日は、震源と震央について。
地震に関する雑学的な話ですが、興味のある方はお読み下さいね。
震源は、誰でも耳にされたことがあると思いますが、震央は聞きなれない言葉です。
震源とは想像されている通り、地震が発生した地点を指し、地面の中(深さはそれぞれ)にあるのは当然ですね。そして、地点の真上になる地表部分を、震央と呼んでいます。
ですから地震が発生した時、震央の被害がとても大きくなるように思えるかもしれませんが、必ずしもそうではありません。実際にも、震央と被害の大きかった中心とは、一致しないことも多いのです。
それは、被害の度合いが地盤の性質などの影響を受けるから、と言えます。したがって、地盤の弱い地域では、震央から離れていても地震の被害が大きくなることもあるのです。
1995年に起きた阪神大震災も、震源は明石海峡でしたが、地震を起こした震源断層は神戸の芦屋市付近まで延びていたため、震源から30kmほど離れていた東灘区で被害が大きかったことも、その一例です。
写真は、能登半島地震の時の門前町道下地区です。地盤の弱い地域であったために、被害が大きくなってしまったのもこの地震の特徴でした。
自分の家の地域は、地盤がどうなのか? を知っておくのも大事なことですね。
そのうえで、きちんと地震対策をしておきましょう!

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2007年12月04日

地震のP波とS波

久々に、地震の話です。前回は、10月1日より始まった緊急地震速報について書きました。
地震計で、地震のP波とS波をとらえることにより、地震の規模や揺れの大きさを推定して速報として発表されるシステムです。
今日は、このP波とS波を少し勉強してみましょう。地震の波の伝わり方は2段階構成であり、P波とS波と呼ばれます。
それぞれを一言でいうと、P波は地盤崩壊の音を伝える初期微動であり、その後に来る地震の破壊力そのものを伝えるのがS波、なのです。
大地震が発生した時、最初に遠くから地響きのようなものを感じるのがP波であり、それからグラグラグラッと揺れるのがS波であるということです。
先のP波は、地中で岩盤が破壊されている時の音で、音の破壊エネルギーはごく小さいが、ご存知のように空気中でも水の中でも伝わっていく。
後から来るのがS波であり、これが地震の揺れそのもの。この波の伝わり方は、ひもの端を持ってクネクネと蛇のように動かした状態に似ていて、力をそのまま遠くまで伝えるような感じと言えます。
地震のエネルギーに応じてS波の振幅はいくらでも大きくなり、激しく揺れると地表のものを破壊してしまう。(ただし、空気や水の中は伝わっていかない。)

このように、P波よりもはるかに大きなエネルギーを持っているのがS波であり、地震の被害に影響を及ぼすのはS波の揺れ(破壊力)なのです。
P波の後からS波が来ると書いていますが、地表で感じる後先のことを言っていて、実際には同時に発生しています。
時間差が生じるのは、P波がS波よりも2倍程伝わる速度が速いためです。ですから、震源に近いほど時間差が小さく、遠く離れるほど差が大きくなります。
このP波が到達してからS波が到達するまでの時間差のことを初期微動継続時間と言われています。
P波の速度は約6km/秒、S波は約3.5km/秒。もし、震源から8kmの場所だとするとP波は約1.3秒後、S波は2.3秒後に到達するので、その差は約1秒になりますね。
P波を感じ(観測)てから、S波が到達(観測)するまでの初期微動継続時間に、8kmを掛ければ震源距離です。その時間が10秒ならば、震源は80km離れていることになるのです。
このようにして、震源の距離や深さなどを計算したものが地震速報などで発表されています。またこれを利用して、緊急地震速報ができたという訳ですね。

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2007年10月09日

緊急地震速報がスタート!

ご存知の方も多いと思いますが、10月1日より緊急地震速報が一般向けにも本格運用開始されました。
地震の発生を、大きな揺れが来る前に知らせる速報であり、これは世界でも例のない地震の早期警戒システムです。最大震度が5弱以上と推定される地震で、震度4以上の地域名がわかるというもの。
そのしくみは、地震には初期微動(P波)と後から来る大きな揺れ(S波)があり、その初期微動を地震計でとらえることにより、その地震の規模や揺れの大きさを推定して気象庁が発表。
速報が流れてから、大きな揺れが来るまでの数秒から数十秒の間で、被害の度合い・被害者を少しでも減らそうという目的です。
ただ、P波とS波の時間差は震源地に近いほど少ないですから、直下型地震では間に合わないという指摘や、技術的な限界があることも事実。
奇しくも、運用開始直前の午前2時頃に、神奈川県箱根町で震度5強を観測する地震が発生しました。速報システムはちゃんと作動したのですが、予想震度が「4程度以上」で、速報を発表する「震度5弱以上」に届かなかったため、地震発生が運用開始の午前9時以降だったとしても、緊急地震速報は流れなかったことになるのです。
気象庁では、「震源地の揺れを瞬時に解析し、離れた地域に揺れの到来を知らせるのが緊急地震速報です。そのため、震源地近くでは間に合いません。逆に震源地から遠いともともと被害が少ないという欠点はあります。しかし、それでも揺れる数秒前に分かれば、急いで頭を保護したり、机の下に隠れることができる。自動的に通知されるので、列車の制御、信号の制御、津波に対する水門閉鎖、エレベーターの閉じ込み防止に力を発揮するはずです。」とコメント。

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運用開始当日の地震では・・・でしたが、今年7月の新潟県中越沖地震では、試験運用していた東京都内の小学校では約40秒前、長野県上田市内では約30秒前に受信されています。
また、一部事業者は昨年から先行運用しており、鉄道会社では電車を緊急停止させる列車制御、建設会社では現場のクレーンの運転停止などに利用していて、いずれも新潟県中越沖地震でその効果を確認しているのです。
一般向けに緊急地震速報が流れるのは、NHKのラジオとテレビ・民放テレビの大部分(民放ラジオは来年4月以降)ですが、駅やデパート・遊園地など多数の人が利用する施設では、パニックを警戒して当面は運用しないところが多いようです。
上記のようなシステムの問題点などは別とし、確かに画期的な取り組みであることは間違いないのですが、この速報を受けた人がどう行動・対処するかの方が重要なことです。
テレビ・ラジオ・新聞などにより、この速報のことを知っている人は多いでしょう。しかし、現実に「この速報が流れたらどうするか?」という訓練や教育が少なすぎるように思います。
これも地震対策と同じですが、会社や学校だけでなく、自宅での場合のことも日ごろから考えたり、家族で話し合いをしておく必要があります。でないと、せっかくこういう速報が流れても、身を守れるかどうかは自分次第なのですから。
突然、テレビやラジオで、「緊急地震速報です。○○(場所)で地震発生。強い揺れに警戒して下さい。」と、速報が流れたら・・・あなたはどうしますか?

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2007年09月18日

地震の力とは?

今日は、地震のお話を。
過去の記事に、マグニチュード・震度・加速度・揺れ方の違い、などについて書いてきました。(詳しくは、ジャンル「地震の話」の過去の記事をお読み下さい。)
マグニチュードは、地震そのものの大きさ(規模)を示し、震度・加速度・揺れ方などは、地震の揺れが地中を伝わってくることによる、地面(地表面)の揺れに関することでした。
地震が起きて地面が揺れれば、当然その上に建っている建物も一緒に動こうとします。それが激しくなると、建物の一部が壊れたり倒壊したりしますよね。
では、この建物に影響を与える力(ちから)とは?・・・について書かせていただきます。(とても大事なところです、試験に出ますからよーく聞いて、と言いたい部分です。)
地震に関する、専門的な用語などまで詳しく理解する必要はありませんが、今日の話を頭の片隅に置いておいていただきたいのです。(特に、家を建てようとお考えの方は。)
同じ地震でも、建物によって被害が違うことはご存知の通りです。全壊・半壊・一部損傷から、見た限りでは何もなかったような建物まで、地盤は同じ揺れだったはずなのにいろいろですよね。
そうなんです。地面での揺れは同じであったとしても、建物を壊そうとする地震の力は、1軒1軒その建物によって違ってくるのです。
どう違うかと言うと、1軒1軒の建物の重さが違うからなのです。ですから、建物に影響を与える地震の力とは、次の通りです。
地震の力=地震の加速度×重量(建物の重さ)・・・なのです。
これで、ピーンと来た人はピーンとお分かりいただけたと思います。つまり、軽い建物には軽いなりの地震の力が働き、重い建物には重い分だけたくさんの地震の力が働いているのであります。
構造別に言いますと、木造の建物とコンクリート造の建物では、重さが全然違いますよね。だから、頑丈なコンクリート造の建物であっても、たくさんの地震の力を受けるため壊れることもあるのです。
木造とコンクリート造では極端として、同じ木造でも屋根や壁の仕上げでずいぶん重さが違ってきます。
昔の伝統的な木造建物は、瓦屋根に土壁という造り方でしたから、とても重たい木造建物と言えますし、最近の木造住宅では、瓦屋根の家がずいぶん減り、壁もサイディングなどのボード系の材料が多いので、建物の重さは軽くなっています。
こういう意味では、地震に対しては建物が軽いほど良いのですが、だからと言って、瓦屋根がダメとかコンクリート造がダメな訳ではありません。
肝心なことは、その建物の重さによって受ける地震の力に耐えられるだけの耐力があれば良いのです。重いなら重いなりに、強く造りましょうということです。
大きな地震で古い木造建物が壊れやすいのは、重いなりの強さが不足しているからです。ここで言う強さとは壁の量のことであり、昔の家は開放的な間取りのため、肝心な壁の量が足りないからなのです。
重量以外のもう一つは、加速度に関係します。(これに関しては、先日の能登半島地震・新潟中越沖地震の記事や加速度とは?の話に、地震の加速度に関することが書いてありますので、興味のある方はご覧下さい。)
一般的にですが、震度でいうと6弱〜6強あたりで、地震の加速度が800ガルを超えるような強い揺れになると、建物への被害がとても大きくなります。
震度6弱〜5強以下の中地震クラスでは、加速度がグンと小さくなることもあり、建物にそれほどの被害は出ないのです。
今日のまとめです。
地震に関してだけ言えば・・・、建物の重さは軽い方が良い、建物の重さを考えた耐力(木造では特に耐力壁)をなるべく多くすること、です。
建築基準法も、建物の重さを考えた壁量が決められていますが、以前にも書きましたように基準法は最低の基準ですので、基準法プラスアルファの考え方でより安全に・・・、ですよ。

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2007年07月26日

伝統木造建物振動台実験の報告講演会

京都へ出張に行ってきました。タイトルにある講演会が開催されたからです。
以前に、兵庫県三木市にあるE−ディフェンスで、伝統木造建物振動台実験が行われ、それを見てきたという記事もご紹介しましたね。
この実験は昨年から準備が始まり、今年の1月から2月にかけて何回か振動実験が行われました。今回は、その実験結果の報告講演会だったのです。
もちろん、伝統的な木造建物だけでなく、現代的な工法の住宅の実験も行われていますよ。
こういう風に、実物大の木造建物を実験できるようになったおかげで、今まで分からなかった部分も少しづつではありますが、解明されてきております。
最近、地震が相次いでいますが、そのたびに古い木造住宅が大きな被害を受けると、伝統的な工法または在来(軸組)木造住宅は弱いと誤解されやすいのですが、決してそうではありません。
今回の報告講演会の内容だけでなく、木造建物として基本中の基本の話になりますが・・・。

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伝統工法も現代工法も共通として言えるのは、工法そのものが弱いわけではなく、昔の家の間取りに壁が少ないことや、土台や柱の腐朽による老朽化などが原因で倒壊している建物がほとんどです。
そういう意味でも、まず第一に壁(耐力壁)量を多くし、平面的にも立体的にもバランスの良い木造建物にすることが重要です。家全体で同じ強度を持っていたとしても、バランスの悪い家の方が被害が大きくなりやすいです。
その次に、適材適所な木を正しく使い、正しく施工することにより、腐朽しない(しにくい)家のつくり方でなければなりません。適材適所でない木を使うこと、誤った施工をすることが、腐朽につながるからです。
木構造を良く理解する、木のことを良く知ることが必要です。(これは、設計者・施工者の話。)
ついでに、地震後に家が大丈夫だったように見えても、構造材(柱・梁)が見えない家では、異常が発見しにくいので注意が必要です。
それに比べると、柱・梁の見えている家は発見しやすいですから、木(本物の柱・梁)が見える家だと、こういう利点もありますね。
少し話はそれましたが、とにかく地震国の日本でありますから、こういう実験がどんどん行われていくことによって、大地震が来てもより安全な建物にし、安心して暮らせるようにしていかなければいけません。
私たちだけでなく、私たちの後世を守ってあげるためにも・・・。

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2007年07月18日

地震の揺れ方の違い。

一昨日の新潟県中越沖地震は、まだ余震が起きていて油断できない状態です。少しでも早く、落ち着きを取り戻して欲しいと願うばかりです。
富山では、大したことがなくて何よりでしたが、先日の能登と今回の新潟中越沖と、お隣の県で続けて大きな地震が起きてしまいました。今までにない揺れも経験して、とにかくビックリでしたね。
このブログの「地震の話」では、こういった地震時の体に感じるの揺れや、建物に作用する地震の力など勉強(といっても雑学程度)するために、少しずつ解説していました。
今まで、マグニチュード・震度・加速度について解説しましたが、マグニチュードは地震の規模を表し、震度は気象庁による揺れの強さの程度を段階で示す数値でした。
本当の揺れについては、いくつかの要素を理解する必要がありその一つが加速度の説明だったのですが、それに加えて地震時の振幅や周期もなども関係してきます。
ここら辺も順番に説明していく予定ですが、実体験した揺れでご説明すると感覚的に分かりやすいかも知れません。
ということで、能登半島地震と新潟県中越沖地震の体験を覚えているうちに、地震の揺れに関することを書いておきたいと思います。(ここでは、あくまでも富山で感じた揺れでの説明です。)

みなさんは、能登の時と今回の中越沖と、どちらの方がビックリまたは怖かったですか?
富山での震度・地震の加速度も、思い出してみましょう。
能登半島地震 震度=5弱、加速度=110ガル
新潟県中越沖地震 震度=3、加速度=10ガル
こういう風に数字だけを見ると、能登の方が比べものにならないほど揺れたように思ってしまいます。震度もそうですが、加速度は11倍ですからね。
ただ震度に関しましては、富山市では5弱というより4に近かったと言っていいでしょう。(同じ富山市でも、場所によって揺れ方は違いますが。)
実は、この2つの地震の揺れ方、とても対照的でした。それは、振幅(揺れ幅)と周期(往復する時間)です。能登は、加速度は大きいが振幅・周期は短かい。中越沖の方は、加速度は小さいが振幅・周期が長かった。
分かりやすく言うと、能登はコトコトコトっと小刻みに揺れたが、中越沖ではユッサユッサと大きく揺れたのです。加速度は時間と関係しますから、実際に体で感じた揺れは数値ほどの違いないのです。
また、実際の感じ方は個人差もありますし、地震時にどこにいたか、どういう姿勢だったかによっても違ってきますので・・・。この2つの地震、どちらの方が強かったとか揺れたかではなく、揺れ方によって地震の被害も違ってくるということです。

私は・・・、どちらの地震もビックリしましたが、怖かったと言うよりも、やばいと思ったのは中越沖の揺れ方でした。
「この揺れ、これ以上大きくなったらやばいかも!」と思っていたら揺れがおさまりましたので、ホッと胸をなでおろしました。ただ、震源地付近で加速度に加え、周期も長かったら被害の大きい地震かも、と心配していたのでした。
周期に関することを簡単に書きますと、一般的に構造物は短い周期では壊れにくいのに対して、長い周期の揺れでは壊れやすくなります。ですから、気象庁の発表する震度が同じであっても、加速度と振幅・周期によって、建物の被害に大きく差が出てくるのです。
被害が大きくなるのは、加速度が大きくて周期も長い地震波の場合で、どちらかが小さければ被害も小さくなるでしょう。しかし、地震波の周期に極端な長い短いもありませんから、わずかの違いです。
それよりも、加速度の方が大小さまざまであり、それに大きく左右されますので、その数値が揺れの強さの目安となりますし、被害の大きさにも関係しています。
能登半島地震の最大加速度は945ガル、今回の中越沖地震の場合は812ガル、ついでに2004年の中越地震では1750ガルというとても大きな加速度でした。この加速度に周期が関係して、それぞれの地震の被害となっているわけです。
地震時がきたらどうするか・・・、判断の一つとして自分で感じた揺れ方によって、いざという時にこういうことも知っておいていただければと思います。

でも本当に大地震がきたら、つまり800ガルを越えるような地震がきたら、こんなこと思っている余裕もないでしょう。(能登の地震でも、富山ではたったの110ガルなのですから。)
どこかにしがみつくのがやっと、それよりも横に飛んでくる物さえも避けられない状態だと思います。
そういう意味でも、いざという時のために家の中の地震対策だけはしておきましょう。
何回も書いていますが、対策をしてあるのと何もしていないのでは、本当にいざという時に、です。
今日は、実際に体験した地震での揺れの話でした。周期などの詳しい話は、またいずれ。

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2007年07月16日

新潟・長野で震度6強の地震発生!

またまた、地震です。(地震発生の記事を書くのは、心苦しいのですが。)
本日午前10時13分、震源は新潟県中越沖で深さ17km、マグニチュード6.8の地震が発生。
富山は震度3でしたが、ビックリしましたね。
また、能登半島地震の余震かと思いましたが、今度は新潟県中越沖。逆に、また新潟で・・・、(新潟県中越地震から、そんなに経っていないのに。)
そして、最大震度は6強であり、震度5以上の地域が多い(能登までも)ことに、またまたビックリ!

震度6強を観測した地域
 震度6強 新潟県 長岡市小国町 柏崎市西山町 刈羽村割町
 長野県 飯綱町芋川
 震度6弱 新潟県 上越市柿崎区 上越市吉川区 上越市三和区
 長岡市中之島 長岡市上岩井 長岡市山古志
 柏崎市高柳町 小千谷市土川 出雲崎町米田
 出雲崎町川西
(震度5以上を観測した地域はたくさんありすぎますので、震度6以上の地域のみ。)

では、加速度を見てみましょう。
今日の地震の加速度は、下記の通りです。(数値の大きかった所や、主要な地域の加速度。)
 柏崎=812ガル、小千谷=527ガル、寺泊=364ガル、十日町302ガル
 長岡=256ガル、新潟=53ガル、直江津=226ガル、糸魚川=117ガル
 信濃=233ガル、飯山=175ガル、長野=39ガル
 穴水=80ガル、輪島=42ガル、富山=16ガル
ついでに、2004年10月23日の新潟県中越地震の加速度も参考に。(上と同じ順に書きます。)
 柏崎=149ガル、小千谷=1502ガル、寺泊=105ガル、十日町1750ガル
 長岡=544ガル、新潟=104ガル、直江津=220ガル、糸魚川=68ガル
 信濃=121ガル、飯山=79ガル、長野=38ガル
 穴水=34ガル、輪島=14ガル、富山=10ガル

気象庁では、前回の中越地震は内陸部の活断層の地震であり、今回は海の浅いところで起こる地震だったので、これは能登半島沖と似ている地震であるが、ただ前回と今回も震源地は近かったので、似たような揺れ方をした地震であったと発表。
加速度を調べてみますと、こんな具合に違っていました。テレビで、柏崎の人が前の地震よりかなり強かった、と言っておられたのもうなずけますね。前回の小千谷・十日町の加速度をみると、いかに強い揺れだったかが分かります。(加速度の数値だけでなく、地盤や周期も関係してきますが目安。)
ジャンル「地震の話」では、震度・マグニチュードと、前回は加速度について書いてありますので、その数値も含めて各地の被害との関係なども見て下さい。

残念ながら、被害者と多くのけが人が出ている模様ですが、これ以上被害が大きくならないことを願っております。
関係地域の方、くれぐれもお気をつけて。

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2007年06月27日

地震の加速度とは?

地震の話、今までマグニチュードと震度について書きました。この2つは、地震の速報などで聞きなれた言葉でした。
今日は、地震の加速度とは?です。今までの記事(能登や三重地震の記事など)にも、加速度について少し触れていますが、あらためて書かせていただきます。
地震の加速度とは、揺れの強さを表し単位はガル(gal)です。地震のというから難しそうですが、乗り物などの加速度と同じことです。
まず、速度と加速度の違いから。速度とは、一定に動いている速さのことですよね。それに対して、アクセルを踏んで加速している時、ブレーキを踏んで減速している状態、つまり速度が変化している度合いが加速度です。
どんなに速度があっても、例えば時速300kmで走っている新幹線に乗っていても、外の景色を見ないと速度は実感できませんし、コップも倒れません。しかし、新幹線がもし急発進や急停車したとすると、乗っている人がつんのめったり、コップが倒れてしまいますよね。
地震もこれと同じことで、地面が動いたり止まったりするから、揺れとして感じるわけです。この加速度が、小さい(ゆっくり加速する)と立っていられるでしょうし、大きい(急加速する)と立っていられませんね。
地球に重力があることは、誰でもご存知でしょう。木からリンゴが落ちる・・・これが重力でしたね。この重力の加速度は、980ガルです。と言うと、大したことなさそうに聞こえてしまうかもしれません。
しかし重力の980ガルとは、とても激しい加速であり、F1のレーシングカーやジェットコースター並みの加速度なのです。言いかえれば、980ガルという加速とは、静止していた車が1秒後に秒速980cm、すなわち時速35kmに達する急発進をするのと同じなのです。
たった、1秒間にですよ。こんな急加速で、立っているのは無理です。980ガルの地震の加速度となると、墓石はバタバタ倒れ落ちますし、例え象でもひっくり返るのです。
では、震度と加速度の関係はといいますと、加速度の大きさの他に地震波の周期や継続時間なども考慮されたのが、気象庁で発表される震度になりますので、震度と加速度は比例しません。
ただ、震度という数字ですと、震度5弱・5強・6弱・6強と段階があっても、あまり違わないように感じてしまいがちですが、加速度をみると数字が大きく違うので、感覚的に分かりやすいと言えます。

比例はしませんが、震度と加速度の目安というのがありますので書いておきます。
震度4=40〜110ガル程度 震度5弱=110〜240ガル程度
震度5強=240〜520ガル程度 震度6弱=520〜830ガル程度
震度6強=830〜1500ガル程度 震度7=1500ガル以上

上述の重力加速度=980ガルというと、震度6強に該当しますね。
最後に、今までの記事にも書いてありますが、あらためて過去の地震の加速度を見てみましょう。
阪神大震災 神戸891ガル、富山15ガル
能登半島地震 富来945ガル、輪島547ガル、富山110ガル
富山では、阪神大震災の時ビックリして目が覚めましたよね。先日の能登半島地震の時は、今までにない揺れにビックリして、立っていられなかったという声も・・・。
どちらの地震も、加速度でみると富山はぜんぜん大したことなかったのですね。(もちろん、大したことなくて良かった、です。)
だからこそ、800ガルを超えるような大地震がきても大丈夫なように・・・、地震対策を!
次回は、この加速度が建物にどう影響するのか、について書きたいと思います。

※写真は、能登半島地震で被害にあった門前町の建物。(ぶあつい壁でつくってある蔵が、ひびだらけに・・・。)

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