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2014年06月03日

軒の出の効果 その2

まだ6月になったばかりだと言うのに、早くも真夏日の連続や猛暑日になっています。先が思いやられますね。
この夏の暑さを和らげてくれるものとして、屋根の軒の出による効果があります。以前書いた「軒の出の効果」は、外壁の保護の役目でした。
今日は、日射遮蔽(日差しを遮る)効果です。軒の出が大きく出ていることにより、夏涼しくする手助けをしてくれるのです。
ご存知の通り、冬の太陽高度は低いので軒の出が大きくても、直射日光(暖かい日差し)が家の中に入ります。
その反対で、夏は太陽高度が高いので軒の出によって、直射日光(暑い日差し)を家の中に入りにくくしてくれます。
富山では、冬の日差しが暖房費の削減だと言えるほど晴れの日は多くありません。ここ数年特に少なくなってきています。この辺は、太平洋側の天候と大違いです。
どちらも共通なのが、夏の暑さを和らげる(暑い日差しを遮る)ために、軒の出をある程度出しておくと効果的です。
季節による太陽高度もそうですが、1日の中での朝夕と昼間の違いもありますね。(朝夕が低く昼が高い)昼間の太陽は高いですから、南側の軒の出は特に大きな影をつくってくれます。

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1枚目の写真(2006年7月4日撮影)は午前11時頃に写したもので、軒の出の影はずっと下のところ、地面の少し上の基礎の半分くらいの所まで影がのびています。
この写真の状態で、南側の窓すべて影になっていますから、家の中に暑い日差しは全く入っていないということです。
南側はこのように軒の出が影をつくる効果が大きいのですが、朝夕は太陽が低いので南側ほどではありません。では、東や西は効果が少ないから軒を出さなくても良いのか?というと、それでも軒の出があるのと無いのとでは違います。
2枚目の写真(2014年5月28日撮影)は、午前10時20分頃です。1階の窓は下の屋根の軒の出によりだいぶ前から影になっていました。2階の右の窓があとわずかで完全に影になろうとしています。
南側は既に全部影なので、このあとこの家のすべての窓から直射日光が入らなくなります。(西側の窓に西日が当たり始めるまで)

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これに対して、軒の出がもし短かい(30cm程度)とすると、南側は2階の窓の半分が影になる程度ですし、東側はこの時間でも窓が影になることはなく、まだまだ直射日光が当たり続けます。
軒の出が短い家というのは、いつもどこかの窓に直射日光が当たっていて、特に1階の窓は直射日光が当たっている時間がかなり長いのです。
ですから、東や西の軒の出も無駄ではありません。直射日光が入る時間をだいぶ減らしてくれています。
朝からこの頃までの時間と午後から夕方にかけて西日の当たる時間の直射日光を家の中に入れたくなければ、軒の出や庇よりも日差しよけシートや外付けブラインド・すだれなどで遮蔽した方が良いことになります。
※窓の外側での日射遮蔽の効果に関しては、こちらをご覧下さい。

夏の室温上昇は、窓から入る直射日光の影響が大きいですから、軒の出が長い家と短い家とでは家の室温がだいぶ違ってきます。
その差が、エアコンがなくてはならない家と、その反対のエアコンに頼らなくてもよい家、エアコンを使ったとしても使用頻度・設定温度が全然違ってくるのです。
軒の出を大きく出す効果は、外壁の保護(長持ちさせる)と日射遮蔽(夏涼しい・省エネ)です。とても大事なことだと思われませんか?
これからの時期は特に、家を見る時にはデザインだけでなく軒の出がどの位出ているか、その軒の出によってどのくらい影になっているか、窓に直射日光が当たっているかいないか、軒の出の効果も見てみて下さい。

posted by kusano at 18:11| Comment(0) | 伝統の知恵と工夫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年02月06日

軒の出の効果

今冬最強の寒波のせいで、日本全国とても寒いですね。富山でも昨日も今日も、一日中氷点下の真冬日となっています。
ただ、ここ数年は昔に戻ったかのように雪の量が多かったのですが、今年の富山は非常に降雪量が少ないのです。
今回の寒波でも大雪注意報が出ていましたが、1枚目の写真のように今現在5cmほどの積雪です。

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ところで、写真を見てお分かりのように、建物の基礎から離れたところから雪が積もっていますね。
この部分を除雪した訳ではなく、こういう風に雪が積もったのです。家の周り全部こういう風になっています。
これは、屋根の軒の出があるからですね。地面から屋根まではずいぶん距離があるのですが、軒の出があることによってこうなるのです。
2枚目の写真は、下から軒の出を見上げていますが、外壁面から90cmほど軒が出ています。
屋根の一番高い所は地面から約7.6mありますが、屋根の低い所と同じ雪の積もり方になります。
こういう風に分かりやすいので、冬の積雪時の写真をご覧いただいていますが、雨の場合も同じです。
ある程度風が伴うと雪や雨が外壁に当たりますが、風が無いか弱ければ外壁に当たらないということです。

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つまり軒の出というのは、外壁を雪や雨から守る役割をしてくれています。外壁の汚れに関しては、雨がなるべく当たらない方が汚れにくいに決まっています。
最近の家は軒の出が短いか、もしくは軒の出が無い箱の家が多くなってきましたので、外壁が雨に当たりやすくなっています。
外壁材をどうしようか・何にしようかという前に、軒の出の効果を見直していただきたいと思います。
雨がよく当たるから、それに対抗するために人工的に新しい建材をつくるという考えは、製造時も廃棄処分するのにもエネルギーやCO2を排出してしまいます。
自然に逆らわない手法で、自然素材をそのまま使うことが、本当の意味で環境に優しいと言えるのではないでしょうか。
最後に、木の家と称するならば、もう少し木の外壁を使って欲しいのですが・・・。
posted by kusano at 18:11| Comment(0) | 伝統の知恵と工夫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年11月13日

大工道具 鑿(のみ)

今日は、大工さんの道具をピックアップしてみましょう。
大工さんの道具といえば、金槌(かなづち)・鋸(のこぎり)・鉋(かんな)・鑿(のみ)などの他にもいろいろあります。
ここに並べた名前の道具なら、大体見たことがあるか、どんな道具か想像できると思います。
この写真の道具の名前は? 分かりますよね。
そうです、鑿です。(大工道具って、漢字で書くとすごく難しい字が多いものですね。)
写真は、現場に置いてあった鑿を写してみました。
ずいぶんたくさんの鑿が大事そうに箱の中にいれてありますよね。
穴を掘ったり削ったりする場所の大きさに合わせて、いろいろなサイズの種類がありますし、ここには同じような長さの鑿ばかりですが、長さの違う鑿もあるのですよ。
しかし、こういう大工道具も、現場で使われるものがだんだん減ってきています。
道具が電動化されてきたこともありますが、大工さんの仕事が完成すると見えなくなる部分ばかりになってきたからです。
金槌は釘を打つのに必要ですが、釘を打つ機械(鉄砲)が当たり前になり、長さを切る鋸も電動鋸が使われます。
集成材や建材は工場で加工されてしまい、現場できれいに削ったり穴を開けたりという仕事をしなくてもよくなったのです。
そういう仕事をするための、鉋や鑿は現場ではほとんど必要なくなりましたので、こういう風に現場に鑿が置いてあることが珍しくなったのです。
言いかえると、それだけ本物の木が使われなくなり、大工さんが丁寧な仕事をしなくても良くなったということです。
建材を工場で加工して作った家と、本物の木で大工さんが手で刻んだ家とでは、時間が経てば経つほど違いがでてくるのです。
こういったことも、20〜25年で建て替えたくなる家と、ずっと使いたくなる家との違いの一つなのですよ。
大工道具の話と言うよりは、本物の木を使い、大工さんの昔ながらの道具で伝統の技を生かした家を見直しましょうと言うお話でした。

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posted by kusano at 17:17| Comment(4) | TrackBack(0) | 伝統の知恵と工夫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年10月04日

「木具」

金具ならぬ木具です。もちろん、木具という名称は一般的にはありません。
金属製の金物が金具なら、木製なので木具と書いてみました。
総称は別としまして、昔ながらの伝統工法(木造軸組み工法)の家に使われていた、込み栓・楔(くさび)・ダボなどが写真に並べられています。
伝統工法の家では、こういうものを使って継ぎ手・仕口の部分が外れないようにしてあったのです。
見たことのある方は、いらっしゃいますか?
古い家に住んでおられる方、または実家が古い家の方ですと、家の中のどこかで見たことがあるかもしれませんね。
ただし、継ぎ手・仕口の部分に入れてしまうと見えなくなるか、差してあるものはほんの一部だけが顔を出した状態になってしまいますので、写真のように差す前の形状を見たことのある方は少ないと思います。
写真を、順にご説明しましょう。写真に写っている材料は昔のものではなく、現在工事中の家で使ったものですよ。
左から2本が込み栓です。柱と土台や柱と梁桁などが外れないように、土台・梁桁の横から打ち込み(差し)ます。
柱の上や下を見ていただくと、込み栓の端っこがちょこんと顔を出しているのが見えます。
2本とも込み栓で太さも同じですが、色が違っていますね。実は、樹種が違うのです。
1番左の白い方は桧で、2番目の少し茶色い方は欅(けやき)なのです。仕口の場所によって、使い分けをします。
次に、真ん中に合計4個あるのが、楔(くさび)です。
楔は、いろいろな部分に使われますが、柱を貫いて入れる通し貫(とおしぬき)と柱を締め付ける役目をしたり、通し柱などを貫いた梁・桁のほぞに差して柱と梁・桁が外れないようにするために楔を打ち込むのです。
その場所によって、楔の長さや角度などを変えて作られます。
最後に、一番右にあるのがダボです。左にある込み栓を太くしたような感じですね。
直交する梁・桁が高さを変えて組んであるところを渡り顎(わたりあご)と言いますが、その中に入れて上下の梁・桁を緊結させます。
また、同じ方向に上下に2段重ねにした梁・桁にも、上下の材の中に入れて緊結します。いずれも、中に入ってしまいますので、出来上がると見えなくなってしまいます。
こういったいろいろな部分に、込み栓・楔・ダボなどを使って、木と木を締めたり外れないように緊結させているのです。
今日の話は、文章だけでは非常に分かりにくい内容でしたね。
最近では、阪神大震災以降の木造の研究が進み、伝統工法が見直されてきています。
若いお客様でも、お客様の方から伝統工法についての質問や、伝統工法で建てて欲しいという方もいらっしゃるんですよ。
このシリーズでは、このあと伝統工法のいろいろな継ぎ手・仕口もご紹介していきます。
その際に、込み栓・楔などという言葉も必ず出てきますので、この写真を思い出して下さいね。
伝統工法に興味のある方は、乞うご期待!

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posted by kusano at 15:00| Comment(2) | TrackBack(0) | 伝統の知恵と工夫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年09月13日

「伝統の知恵と工夫」

新しいジャンルをスタートします。
「伝統の知恵と工夫」というジャンルです。
伝統民家は、長い歴史の経験から生まれた日本の気候風土にあった家づくりでした。
その部分は、時代が変わっても気候が大きく変化しない限り、変わることはありません。
デザインなどが多少現代風になったとしても、家づくりの根本は同じなのです。というか、同じだったのです。
「安かろう、早かろう」の建材を多用した家をつくったことにより、家の中で健康を害し、地球規模の環境破壊まで引き起こしてしまいました。
その結果、気候風土に合った家づくりをするべきであるというのが、見えてきたわけです。その答えが、伝統民家にあったのです。
もちろん、昔の家そのまま建てましょうというのではなく、その根本に学んで現代に合うように引用していくべきだと思います。
では、耐震性能など構造的な面での伝統工法は、どうでしょうか。
阪神大震災以降、ようやく本格的な木造の研究がはじまり、いろいろなことが分かってきました。
古くて傷んでいることにより倒壊したものや、淡路島では台風のときに瓦が飛ばないように、屋根の上に土を載せていた屋根の重みのせいで、倒れやすかったというようなこともありますが。

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そういったことがなければ、一般的な伝統的軸組み工法は、木という材料を生かした非常に粘り強い工法だったのです。
自分の持っている限界を超えると、突然パタッと倒れるのではなく、倒れまいと踏ん張ってなかなか倒壊に至らないのが特徴です。
日本という地震国で、大昔からたくさんの地震を経験してきたことにより、大工さんたちが生み出して改良してきた工法だったのです。
では、なぜそれが受け継がれなかったかと言うと、伝統工法の研究をすることもなく、新しい工法を受け入れてしまったからです。
そういう意味では阪神大震災を忘れずに、教訓として生かしていかなければならないのです。
この「伝統の知恵と工夫」では、先人たちが長い経験をもとに生まれてきた知恵や工夫などを見ていきたいと思います。
伝統工法もそうですし、伝統民家に見られるいろいろな住まいの工夫などなど。
では、お楽しみに!

上の写真・・・チューリップと散居村で有名な富山県砺波市にある民家の内観です。
下の写真・・・以前に、最近完成した家でご紹介していた家の内観です。

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posted by kusano at 18:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 伝統の知恵と工夫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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