林業家が、手塩にかけて育てた娘をお客様のところに嫁にだしたということです。
つまり、木材が運ばれてきましたよということなのですが、木を出す林業家としてはまさにそういう気分でしょう。木を積み終わってトラックが出ていくところを、そういう気分で見送っている林業家の姿が目に浮かぶようです。
そんな思いが伝わってくる木なんですよ。

昨日お客様に、林業家の娘さんが嫁いでこられましたよ、とご報告しました。
それを見たお客様からは、意味深くて良い表現ですね。大事に大事に育てられた木なんだとよく分かる、私たちも大事に大事にしたいと思います。とお返事をいただきました。

今回運ばれてきたのは主に構造材で、樹齢60〜100年ほどの木です。
自分の代だけで育てられるものではなく、何世代も前の先代が植えてそれを世代を引き継いで育ててきた木なのです。
構造材は、たくさんある丸太の中から適当に選んで、ただ単に必要な大きさに製材されるというものではなく、平面図を参考にどこにどう使われるのかを見ながら、その部位にふさわしいよう適材適所に製材されます。
その後、木の持つ本来の良さを保つために(人工乾燥に頼らず)数か月間かけて天然乾燥をします。
こうしたこだわりが、それこそ手塩にかけて育てたといえる木です。写真でも分かるように良い色艶をしているだけでなく、香りや強度・耐久性がしっかり残っているのが特徴です。丈夫で長持ちという意味では、とても重要なことです。

さて嫁ぐ娘は、このあと大工さんの手によって花嫁修業をして、建て方(上棟)すると一人前の花嫁となり、家が完成するとお客様と何十年も一緒に暮らしていくことになります。親(林業家)は、工事中か完成したころに一人前の花嫁になった娘に会いに来るのです。
その前に、嫁ぐ娘はまずはお客様とご対面です。実は初対面ではなく、昨年の伐採ツアーの時に一度会っておられます。その時は天然乾燥中でしたが、今回は綺麗に削られた状態で久しぶりのご対面です。(大工さんと一緒に、番付に参加してもらいます。)
お客様も、わが家に嫁いできてくれた娘と会うのを、とても楽しみにしておられます。
次回は、その様子を。(次回の記事:嫁いできた娘とご対面)
草野鉄男建築工房