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2014年06月27日

呼吸する家・呼吸しない家

木の家の良さを表す言葉として、呼吸する家と言います。
呼吸する家とはどんな家で、逆に呼吸しない家はどんな家なのでしょう。
木は、湿度が高くなってくると湿気を吸って(除湿)くれて、湿度が低くなると自分が持っている水分を出して(加湿)くれます。そういう調湿作用があることを、木が呼吸すると言います。
家の柱梁など構造材を見えるようにつくり、なおかつ床や天井なども板張りにする本物の木の家は、呼吸してくれる家です。
その呼吸が自然の調湿(除湿・加湿)をしてくれるので、除湿器や加湿器など機械に頼らなくても良い家なのです。

では呼吸しない家はと言うと、呼吸しない(調湿作用のない)材料を使った家、つまり合板フローリングやビニールクロスなど建材に囲まれた家のことです。
それをもう少し分かりやすく例えて表現すると・・・
梅雨時期など湿度の高い時、カッパを着ると蒸し暑くてダラダラ汗が出てきます。ゴム製やビニール手袋をはめて掃除などすると、手が汗でビショビショになりますよね。
大きなビニール袋があったとして、その中に入ると同じように汗がダラダラ流れ出るのが想像できると思います。
まさにこれと同じ状態で、呼吸してくれない材料の中に住む=ビニール袋の中にいる、なのです。
そのままでは蒸し暑くて生活できないので窓を開ける。外の風が入る時はまだ良いのですが、ずっと開け放しにしていると家の中が湿気でジメジメ、床板がベタベタしてしまいます。
窓を閉めても湿度の高い状態はそのままなので、除湿器・エアコンなどの機械で湿度を下げる。呼吸しない家とは、自然の調湿が無いため機械に頼らざるを得ない家のことです。

日本の気候は高温多湿ですから、湿気をどう対処するかが健康で暮らすための・住み心地を良くするためのポイントです。
湿度が高いと、食べ物も腐りやすいですし、家の中のカビの原因にもなります。また、壁の中に覆い隠された構造材も腐りやすくなってしまいます。
そうならないようにするために、建材の家は除湿器・エアコンなどの機械が必要不可欠なのです。
しかし、エアコンをつけたらそれですべてが上手くいく、のなら良いのですが・・・。
電力消費量・CO2排出による環境問題そして異常気象まで関連しているのは、エアコンの膨大な数も一つの要因であることはご存知でしょう。
そこまでの大きな問題は別として個人・家族レベルで見ても、エアコンの使い過ぎ(温度・使用時間)によって体調を崩す・汗をかけない体に、わざわざそうしているようなものです。
エアコン以前の問題としては、有害物質を含む建材を多用することによるアレルギーの病気などを引き起こしていることも事実です。
こういう家は、除湿器・エアコンがないと生活できないのは仕方ないとしても、そういう機械が悪いのでなくて、機械に頼らざるを得ない家のつくり方が問題であると言えます。
最近では、省エネのためにエアコンの設定温度を上げましょうとか又はつけないという方もおられますが、エアコンが無くてはいられない家にとっては大変なことですよね。

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それよりも、ちょっと家のつくり方を変えるだけで、機械に頼らない家にすることができます。機械がやっている除湿・加湿を自然の材料でやってもらえば良いことで、それが木の呼吸なのです。
前述の通り、建材の家は機械で除湿しない限り高い湿度はそのままであるのに対して、本物の木の家の場合は窓を開けていれば外の空気の湿度に近い数字になりますが、その状態でも木はサラサラ・床を裸足で歩いてもサラサラしていて、木が呼吸する家ならではの心地良さなのです。窓を閉めれば徐々に家の中の湿度が下がり始めます。これが自然の除湿です。
乾燥する時期や冬の暖房で乾燥する場合は、持っている水分を出して自然の加湿をしてくれます。
呼吸する家として大事なことは、うちじゅうがそういうつくり方であることです。リビングなど部屋だけ木を多く使って、廊下や脱衣室はそうでないというのは、デザインとして木を使った木の家だと言えます。呼吸する家と謳うのであれば、うちじゅうがそうでなくては意味がありませんからね。

写真のようなつくり方は、ちょっとどころかとても大変だ、柱梁が見えるだけで(特別な木・高価な木材を使っているような)凄いものに見える方もいらっしゃるようです。
でも良く考えていただきますと、呼吸しない家には柱梁が無いのでしょうか。ツーバイフォーならありませんが普通の在来軸組工法であればどの家にも必ずあるものです。
それを壁や天井で覆い隠すから見えないだけで、せっかく使ってある柱梁(普通の家に使ってある物と同等の木)にも呼吸してもらうために覆い隠さずに見えるようにつくる、だけのことです。
呼吸してもらうというのもありますが、呼吸しているから木自身も長持ちするのです。これも、とても重要なことです。
呼吸する(木が呼吸している)家=自然の調湿で住み心地が良く、なおかつ長持ちする家になるわけです。
まずは、自分・家族が健康に住む家にするためには・・・・から考えてみて下さい。
posted by kusano at 17:17| Comment(0) | 家づくりあれこれ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年06月10日

木の家に住むと掃除好きになる?

木の家に住むと、掃除好きになる・・・そんなことはない、新しい時だけ、と思われる方が多いでしょう。
以前に、本物の木の家に住まれたお客様(奥様)から、掃除なんてしたことのない旦那が、モップとちりとりを持って家の中を歩いている、という話を聞きました。
木の家に住んだら、性格が変わって・・・ということではありません。
本物の木の家で裸足で生活をするようになったら、床に何か落ちていることに気付くとすぐに掃除してしまう。
歩いているだけでは目に入らない小さなゴミや僅かな液体でも、裸足で踏むと敏感に気付くのでそれを拾ったり・ほうきで掃いたり、拭きとる、そんな行動をしてしまうということです。

スリッパを履いていると、そういう物に気付かないですよね。スリッパでも分かる大きさの物とかある程度の量の液体なら分かりますが、小さい・僅かな場合はそれに気付かずにスリッパの裏につけて床を汚しながら歩いているようなものです。
裸足で生活できればその方が良いのでしょうが、木の床でない合板フローリングだと冬は冷たい、夏・梅雨時期はベタベタする、歩く感じが硬い・疲れる(足腰への負担)ので、スリッパを履かざるを得ません。
それは仕方のないことであって、合板フローリング=スリッパを履く生活になります。

木の床だからこそ、夏・梅雨時期に裸足で歩いてもサラサラしていますし、その柔らかさが足腰への負担を減らしてくれています。
木の床なのにスリッパを履いて生活するのは、とてももったいないことです。一年じゅう裸足で気持ち良い生活をするというのが、本物の木の家です。
一年じゅう裸足で歩くための問題点は、冬です。合板フローリングに比べれば温かいといいますが、特にここ数年冬の最低気温が低くなった富山では、それは厳しいです。
リビングやその他の暖房してある部屋ならまだ良いですが、暖房してない廊下・脱衣などは床が冷たいですから、部屋の中は裸足で部屋を出るとスリッパを履くというのもおかしいです。その場合は、冬はスリッパを履きそれ以外は裸足でという生活でしょう。
富山で、一年じゅう木の床を裸足で気持ち良く暮らすためには、暖房や間取りも含めて考えなければいけません。
それはまた別の話として、掃除の話に戻しまして・・・

私自身も同じです。新しいわが家では、そうしていますではなくて、そうしてしまいます。それを放っておいても、また踏んで気になることですから。
床に何か落ちていることに気付けばすぐに拾ってゴミ箱に捨てますし、床に水か何か液体がこぼれていることに気付けばティッシュか雑巾を持ってきて拭き取ります。
結局、掃除しているというより、足で踏んで気になる物があるからそれを片付けているだけのことですね。これなら、大抵の方やってしまうでしょう。
ただ、こういうことをしてしまうのは、物が落ちていることに気付きやすい使い方をしているからこそ出来る行動です。
木の家に住むと掃除好きになるというか、そういうことをしてしまう、一年じゅう裸足で暮らす本物の木の家ならではの行動パターンだと言えます。
posted by kusano at 17:37| Comment(0) | 木の家の住み心地を検証する | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年06月03日

軒の出の効果 その2

まだ6月になったばかりだと言うのに、早くも真夏日の連続や猛暑日になっています。先が思いやられますね。
この夏の暑さを和らげてくれるものとして、屋根の軒の出による効果があります。以前書いた「軒の出の効果」は、外壁の保護の役目でした。
今日は、日射遮蔽(日差しを遮る)効果です。軒の出が大きく出ていることにより、夏涼しくする手助けをしてくれるのです。
ご存知の通り、冬の太陽高度は低いので軒の出が大きくても、直射日光(暖かい日差し)が家の中に入ります。
その反対で、夏は太陽高度が高いので軒の出によって、直射日光(暑い日差し)を家の中に入りにくくしてくれます。
富山では、冬の日差しが暖房費の削減だと言えるほど晴れの日は多くありません。ここ数年特に少なくなってきています。この辺は、太平洋側の天候と大違いです。
どちらも共通なのが、夏の暑さを和らげる(暑い日差しを遮る)ために、軒の出をある程度出しておくと効果的です。
季節による太陽高度もそうですが、1日の中での朝夕と昼間の違いもありますね。(朝夕が低く昼が高い)昼間の太陽は高いですから、南側の軒の出は特に大きな影をつくってくれます。

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1枚目の写真(2006年7月4日撮影)は午前11時頃に写したもので、軒の出の影はずっと下のところ、地面の少し上の基礎の半分くらいの所まで影がのびています。
この写真の状態で、南側の窓すべて影になっていますから、家の中に暑い日差しは全く入っていないということです。
南側はこのように軒の出が影をつくる効果が大きいのですが、朝夕は太陽が低いので南側ほどではありません。では、東や西は効果が少ないから軒を出さなくても良いのか?というと、それでも軒の出があるのと無いのとでは違います。
2枚目の写真(2014年5月28日撮影)は、午前10時20分頃です。1階の窓は下の屋根の軒の出によりだいぶ前から影になっていました。2階の右の窓があとわずかで完全に影になろうとしています。
南側は既に全部影なので、このあとこの家のすべての窓から直射日光が入らなくなります。(西側の窓に西日が当たり始めるまで)

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これに対して、軒の出がもし短かい(30cm程度)とすると、南側は2階の窓の半分が影になる程度ですし、東側はこの時間でも窓が影になることはなく、まだまだ直射日光が当たり続けます。
軒の出が短い家というのは、いつもどこかの窓に直射日光が当たっていて、特に1階の窓は直射日光が当たっている時間がかなり長いのです。
ですから、東や西の軒の出も無駄ではありません。直射日光が入る時間をだいぶ減らしてくれています。
朝からこの頃までの時間と午後から夕方にかけて西日の当たる時間の直射日光を家の中に入れたくなければ、軒の出や庇よりも日差しよけシートや外付けブラインド・すだれなどで遮蔽した方が良いことになります。
※窓の外側での日射遮蔽の効果に関しては、こちらをご覧下さい。

夏の室温上昇は、窓から入る直射日光の影響が大きいですから、軒の出が長い家と短い家とでは家の室温がだいぶ違ってきます。
その差が、エアコンがなくてはならない家と、その反対のエアコンに頼らなくてもよい家、エアコンを使ったとしても使用頻度・設定温度が全然違ってくるのです。
軒の出を大きく出す効果は、外壁の保護(長持ちさせる)と日射遮蔽(夏涼しい・省エネ)です。とても大事なことだと思われませんか?
これからの時期は特に、家を見る時にはデザインだけでなく軒の出がどの位出ているか、その軒の出によってどのくらい影になっているか、窓に直射日光が当たっているかいないか、軒の出の効果も見てみて下さい。

posted by kusano at 18:11| Comment(0) | 伝統の知恵と工夫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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