先日、緑の列島木の家スクール富山第3回を開催しました。
前回は、金沢工業大学に行って実験の見学をしてきた外部研修の様子を紹介しましたが、今回はまたいつもの会場での講義です。
今回は、住環境に関する講義をしていただきました。講師は、以前のスクールでも来ていただいていた野池政宏先生です。
野池先生は、住まいと環境社代表であり、岐阜県立森林文化アカデミー非常勤講師や自立循環型住宅研究会の主宰をしていらっしゃいます。
今回は、「省エネルギー住宅の設計法」と題して講義をしていただき内容は、温熱指標の意味やパッシブデザイン、そして省エネ住宅の評価に関するお話でした。
難しい話、特に温熱指標ではややこしそうな名前・数値がいっぱい出てきますのでその辺は割愛させていただいて、パッシブデザインのことについて書きたいと思います。

パッシブデザインとは、自然エネルギーを最大限に活用して、住宅で使うエネルギー(冷暖房・照明など)を減らせるような建物をつくることです。
太陽を取り入れる昼光利用つまり明るい家は、照明や冬の暖房エネルギーを減らします。同じ太陽でも夏に直射日光が入ると暑いので、日射遮蔽することにより冷房エネルギーを削減できます。
建物の軒の出や庇が、これを解決してくれます。軒や庇が出ていると、夏には良いようでも冬には邪魔になりそうに思いますが、そうではありません。夏と冬で、太陽高度が違うからです。
軒の出・庇があることによって夏の直射日光を遮ってくれ、冬は太陽が低くなるので軒の出・庇があっても部屋に陽射しが入ってくれるというわけです。
これに関しては、昔の家が長年の知恵・工夫でちゃんとそうなっていますよね。逆に今の家は、軒・庇のない箱の家が流行っています。
自然風を入れるつまり風通しの良い家は、分かりやすいですよね。これも昔の家は、戸が多かったのでその戸を開け放すと、家の中を風が通り抜けていきます。
今の家は壁が多いので、窓の取り方などをちゃんと考えないと、風通しの悪い家になりがちです。夏の風向きも考えて、エアコンにあまり頼らなくてもよい家にしたいものです。

自然(太陽・風)を取り込むという点に関しては、新しい考え方ではなくむしろ昔の家に学ぶべきなのです。気候風土に合う自然と共生する家づくりだったからです。
ただ、冬の暖房という意味では、昔の家は確かに寒かったです。戸が多くて隙間だらけでした(その隙間が自然換気という良い意味もありますが)し、昔なので暖房器具もありませんので。
今は、いろいろな暖房器具があるというもの、資源の問題もそうですし、特に3月11日以降、より省エネ・節電を考えなくてはいけなくなりました。
暖房エネルギーを減らすには、断熱性能が重要です。その断熱とは、開口部(窓・ガラス)の性能と、断熱材(床・壁天・井)の性能です。
ただ注意しなければいけないのは、断熱性能を上げると逃げていく熱が少なくなりますから冬の暖房には効果がありますが、夏に家の中が熱くなるとなかなか涼しくなりません。
その辺のバランスを考えて性能を決めないといけない、ということです。

省エネという面では、発電や給湯をしてくれる太陽熱利用もあります。どちらかというと、まずは太陽光発電をという流れが一般的になっているようですが、太陽光発電は本当にお得なのでしょうか?
電気代が、タダになるか安くなるのはとてもお得そうに聞こえるのですが、やはり設備投資費が非常に高価であることもそうですし、30年ほどすると取り換えしなくてはいけないといういことも考慮しておく必要があります。
長いスパン(30年・60年)で考えてみると、太陽光発電は上記のように設備にコストがかかるのに対して、パッシブデザインの家(新築もリフォームも)は一度つくるとずっとその性能のままなので、結果こちらの方が安く上がる計算になります。
また、太陽光発電では電気代がどうのこうので快適性とは関係ありませんが、パッシブデザインの方は住み心地の快適性も得られるのです。
パッシブデザインと太陽光発電まで一緒にやればより省エネにはなりますが、優先順位としてまずはパッシブデザインの家にするというのが良いそうです。
あとは、住まいの中で高効率な家電製品を使う、家族で無駄な電気を使わない生活を心がけることも大事ですね。
受講生の皆さん、いつも以上に一生懸命メモをとっておられたのが印象的な講義でした。